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心理学者のスリオ(Souriau)は、「発明するためには、他のことを考えなければならない」と言っている。
三上は、好むと好まざるとには関わらず、その他の事をしている状態で、従って他の事を考えるのに便利な状態である。

クロード・ベルナールという生理・医学者は、「自分の概念をあまりに信頼している人々は発見するにはあまり適していない」と述べている。

散歩中に良い考えにぶつかることは、古来その例が甚だ多い。
ヨーロッパの思想家には散歩学派が少なくない。
散歩の良いところは、肉体の一定のリズムの中におき、それが思考に影響する点である。
そう言えば、馬上にもリズムがある。

もうひとつ、ものを考えるのに良いのが入浴中である。
ギリシャのアルキメデスが比重の原理を発見したときにユーリーカと叫んだと言われる。
伝説によると、入浴中に思いついたことになっている。
比重の原理は入浴との縁が近すぎるけれども、一般に入浴中は精神も昂揚するようで、浴室で歌を歌いたくなるのはその現れである。
思考にとっても血行を盛んにする入浴が悪いはずは無い。

以上の三つ、無我夢中、散歩中、入浴中が良い考えの浮かぶ良い状態であると考えられる。
いずれも「最中」である。そういえば、三上にしても、最中でないことはない。

人間、日々、常住坐臥、最中ならざるはなく、そのつもりになれば、至る所で妙想が得られる事になる。


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